Nature ハイライト
ゲノミクス:ギボシムシとそれに近縁な多くの動物群
Nature 527, 7579
ギボシムシは腸鰓類とも呼ばれる半索動物で、体が柔らかくて眼がなく、海底の軟らかい砂泥の中に生息している。そのゲノムには、棘皮動物(ヒトデやその近縁動物)や脊索動物(ヒトを含む)と共に構成する「新口動物」という大きな分類群の進化を解明するための手掛かりが潜んでいる。佐藤矩行(沖縄科学技術大学院大学)たちは今回、2種の腸鰓類のゲノム塩基配列を明らかにした。一方は直接発生を行う種、もう一方はプランクトン型幼生の段階を経る種である。他の動物のゲノムとの比較解析から、ナメクジウオ(原始的な脊索動物)をはじめとする左右相称動物と広範なシンテニーを示す領域が明らかになった。また、ギボシムシの咽頭鰓裂の発生と特異的に関係する遺伝子カセットも見つかった。咽頭鰓裂は体壁に孔が並ぶ構造で、全ての新口動物で少なくとも原始的な形態のものが見られ、現在では次第に、新口動物全体の明確な特徴の1つだと考えられるようになっている。
2015年11月26日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:ギボシムシとそれに近縁な多くの動物群
幹細胞:脾臓の造血ニッチの特徴が明らかに
がん:転移にEMTは必要でない
化学生物学:オーファンGPCRのリガンドを探す
惑星科学:月の傾斜角が説明された
画像化技術:血管の超解像イメージング
材料化学:金属有機構造体における不均一なガス吸着
神経科学:味覚を解析
神経科学:温度リズムが体内時計を調整する
微生物学:真菌病原体を引き寄せる植物の性フェロモン