Nature ハイライト
微生物学:真菌病原体を引き寄せる植物の性フェロモン
Nature 527, 7579
真菌病原体は、化学シグナルに応じて菌糸を植物宿主に向けて伸長させるが、それに関わる機構はまだよく分かっていない。今回A Di Pietroたちは、植物病原体であるフザリウム属菌類Fusarium oxysporumがトマト(Solanum lycopersicum)の根に向かって伸長するのを誘導するのは、トマトが分泌するクラスIIIペルオキシダーゼであり、このF. oxysporumの応答には膜貫通タンパク質Ste2が必要なことを明らかにした。Ste2は、酵母の性フェロモンα受容体のホモログである。著者たちはさらに、MAPKカスケードを介したシグナル伝達がF. oxysporumの伸長誘導に関わっており、異なる化学シグナルには機能的に異なるカスケードが応答していることを明らかにした。これらの結果は、真菌のフェロモン感知機構が、土壌のような複雑な環境中で植物宿主を探す役割を担っている可能性を示唆している。
2015年11月26日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:ギボシムシとそれに近縁な多くの動物群
幹細胞:脾臓の造血ニッチの特徴が明らかに
がん:転移にEMTは必要でない
化学生物学:オーファンGPCRのリガンドを探す
惑星科学:月の傾斜角が説明された
画像化技術:血管の超解像イメージング
材料化学:金属有機構造体における不均一なガス吸着
神経科学:味覚を解析
神経科学:温度リズムが体内時計を調整する
微生物学:真菌病原体を引き寄せる植物の性フェロモン