Nature ハイライト 医学:切れたニューロンの再生 2004年12月16日 Nature 432, 7019 神経疾患を有効に治療するためには、神経細胞の再生機構を理解しなければならない。これまで、神経手術後の神経細胞の回復に関する研究はマウスや魚類に限られていたが、今回、新しい微小テクニックがBrief Communicationsで紹介されている。この方法で小さな線虫Caenorhabditis elegansの軸索を正確に切断すると、その後めざましい回復が見られる。小さくて単純な生物、線虫は隅から隅まで研究が進んでいることから、この精密な神経外科ツールの助けによって、軸索再生にかかわる重要な遺伝子および分子を同定できるかもしれない。A Ben-Yakarたちは、フェムト秒レーザー手術により線虫の軸索を切断した。軸索は中央部で切断され、残りは完全なまま残された。ニューロンがこのように切断された線虫では最初のうち、後方移動に予想通り異常が認められた。ところが24時間後には著しく改善しており、再生した軸索が再び機能していることが示されたのである。 2004年12月16日号の Nature ハイライト 公衆衛生:炭疽病抑止は予防接種より迅速な対応で 動物行動:アリは軌跡の角度を道標に巣に戻る 医学:切れたニューロンの再生 物理:化学反応の現場を画像化 遺伝:重要な細菌プランクトンゲノムの解読 Insight:「化合物の宇宙」は最後のフロンティア 目次へ戻る