Nature ハイライト 公衆衛生:炭疽病抑止は予防接種より迅速な対応で 2004年12月16日 Nature 432, 7019 炭疽病の流行を阻止するには、相当大がかりな集団予防接種プログラムを実施するのでなければ、発生後にねらいを絞って迅速に行う対応のほうが有効だとする報告が、今週号に掲載されている。2001年後半に米国で起こったような炭疽病発生を抑え込むのに最良の戦略は、R Brookmeyerたちによると、炭疽菌にさらされた人々に抗生物質を投与するまでの時間を最小限にすることだという。彼らの算定によると、炭疽菌にさらされた人々全員に暴露から6日以内に抗生物質を投与し始めれば、ほぼ70%が発症せずにすむという。投与開始までに10日以上かかると(2001年の米国で炭疽菌にさらされた郵便局職員の多くはこれくらい待たされた)、この数字は50%を切ってしまう。こうした予防率は、接種率がものすごく高くない限り集団予防接種では改善されないようだ。Brookmeyerたちの今回の解析結果は、生物テロから市民を守る公衆衛生財源の最善の割り当てかたを判断する際に役立つだろう。 2004年12月16日号の Nature ハイライト 公衆衛生:炭疽病抑止は予防接種より迅速な対応で 動物行動:アリは軌跡の角度を道標に巣に戻る 医学:切れたニューロンの再生 物理:化学反応の現場を画像化 遺伝:重要な細菌プランクトンゲノムの解読 Insight:「化合物の宇宙」は最後のフロンティア 目次へ戻る