Nature ハイライト 生態:マングローブは魚の大事な保育園 2004年2月5日 Nature 427, 6974 ベリーズとメキシコで行った調査をもとに、マングローブ林は珊瑚礁にすむ魚類にとって大事な保育環境になっていることが示された。熱帯のマングローブ林は次第に減退しているが、幼魚が捕食から守られるのはマングローブのおかげなのだ。P J Mumbyたちは、珊瑚礁に隣接するマングローブ林がある環境とない環境で、164種について10万匹以上の個体を追跡調査した。大西洋で最大の草食性魚類であるブダイ科のレインボーパロットフィッシュなど多くの魚類種では、マングローブに隣接する珊瑚礁のほうが個体数が多かった。研究チームの説明によると、マングローブ林は魚たちが誕生の場である海草藻場から成魚のすみかへと旅する際に生育途中の段階を過ごす、重要な場になっているのだという。マングローブがないと、魚たちは完全に生育しないうちに珊瑚礁に移動することになるかもしれず、そうなれば敵に捕まって食べられる確率は高くなる。今回の研究結果は、熱帯雨林をしのぐ勢いで破壊が進むマングローブ林を保全することがいかに重要かを強く示すものだ。 2004年2月5日号の Nature ハイライト 遺伝子工学:心臓に優しい魚油を作るマウス 材料:見かけより内部空間の広い結晶 宇宙:連星はトラブルを越えて 地球:放射性元素の時計で地球形成を計る 化学:窒素の固定法 生態:マングローブは魚の大事な保育園 目次へ戻る