Nature ハイライト 地球:放射性元素の時計で地球形成を計る 2004年2月5日 Nature 427, 6974 一連の放射性元素から得られた結果により地球の形成過程について手がかりが得られた。宇宙空間で衝突した物質が徐々にたまっていく際、つまり成長時に、鉄に富む地球の核を形成した物質は常に外側のケイ酸塩の層と完全に混合したわけではないらしい。A Hallidayによれば、さまざまな放射性同位体の半減期からすると、地球が形成された時間スケールについて、1,100万年間から4,000万年間という一見矛盾する値が得られるという。しかしこれは、地球に衝突した物体の鉄に富んだ核が、地球自身の成長していた核に取り込まれる前に地球のケイ酸塩に富んだ外側の層と完全に混合しなかったためらしい。Hallidayの研究は月の誕生についても手がかりを与えている。彼の計算では、初期の地球に激突し1,000キロメートルの深さまで岩石を融解させて月を形成したと考えられている迷子の「原始惑星」テイアは、地球よりも火星に似ていたことが示された。テイアの「マントル」層は揮発性物質に富んだ酸化鉱物を含み、現在の火星のマントルに似ていたらしい。 2004年2月5日号の Nature ハイライト 遺伝子工学:心臓に優しい魚油を作るマウス 材料:見かけより内部空間の広い結晶 宇宙:連星はトラブルを越えて 地球:放射性元素の時計で地球形成を計る 化学:窒素の固定法 生態:マングローブは魚の大事な保育園 目次へ戻る