Nature ハイライト
生化学:GPCRでのアゴニスト結合
Nature 535, 7610
Gタンパク質共役受容体(GPCR)を介するシグナル伝達は、細胞が環境からの刺激を検出し、情報交換を行う主な機構である。膜タンパク質であるGPCRは、細胞外のアゴニストによって活性化されると細胞内Gタンパク質と結合して、下流のセカンドメッセンジャーやプロテインキナーゼ・カスケードを調節する。今回、β2アドレナリン受容体(β2AR)へのGタンパク質連結が、GPCRの「閉じた」コンホメーションを安定化することを示す薬理学的および生化学的証拠が報告された。GPCRのリガンド結合部位へのGタンパク質の影響は、アゴニストが結合していなくても生じることが分かった。これは、Gタンパク質のGPCRへの結合が、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニストやインバースアゴニストなどのあらゆるリガンドのGPCRとの相互作用を防止し得ることを意味している。すでにGPCRと結合しているリガンドは、Gタンパク質があると受容体から解離できない。ヌクレオチドを含まないGタンパク質がリガンド結合の速度論的性質へ及ぼす影響は、他のGPCRと共通で、アゴニスト親和性のGタンパク質による増強が共通の機構に基づいている可能性が考えられる。
2016年7月7日号の Nature ハイライト
計算論的神経科学:方向選択性の神経ネットワーク
免疫学:ガスダーミンが誘導する細胞死の機序
宇宙物理学:ペルセウス座銀河団に見られる静穏なフロー
化学物理学:極低温分子を制御する
森林生態学:熱帯林の撹乱は生物多様性を低下させる
ウイルス学:フラビウイルスの感染には宿主因子が必要である
ウイルス学:フラビウイルスの感染に必要なシグナル伝達経路
生化学:GPCRでのアゴニスト結合