Nature ハイライト
進化学:先史時代の歯垢から明らかになるネアンデルタール人の食生活
Nature 544, 7650
ネアンデルタール人の食餌に関しては、肉を多く含む食餌の証拠があるのに対して、それよりも多彩な食餌を示唆する歯の摩耗の証拠もあり、盛んな議論が続けられている。L Weyrichたちは今回、ヨーロッパ各地に由来するネアンデルタール人5個体の歯石から得たDNAの塩基配列を解読し、その食餌および健康状態を遺伝学的に再構築した。その結果、ベルギーのスピーで出土したネアンデルタール人はサイやヒツジの肉を食べていた一方、スペインのエル・シドロンで出土した別のネアンデルタール人はマツの実や蘚類、キノコ類を食べていたことが分かった。また、スペインのネアンデルタール人で歯性膿瘍および腸管病原体が認められた個体が、天然の鎮痛薬であるポプラ、および抗生物質を産生するアオカビ属細菌によるセルフメディケーションを行っていたことも示唆された。さらに、現時点で最古となる約4万8000年前の微生物Methanobrevibacter oralisのゲノムも見いだされた。
2017年4月20日号の Nature ハイライト
疫学:流行の進化
神経科学:シナプス後部でAMPA受容体エキソサイトーシスを仲介するもの
生化学:オキセタノシンAの生合成
構造生物学:GPCRの新たに見つかった状態
材料科学:ガラスを3D印刷する
気候科学:融解水の流出が棚氷を安定させる
進化学:先史時代の歯垢から明らかになるネアンデルタール人の食生活
神経変性疾患:神経変性疾患治療
がん:食餌制限によるがん治療の検討