Nature ハイライト
がん:食餌制限によるがん治療の検討
Nature 544, 7650
腫瘍はさまざまな代謝適応を獲得して、増殖の亢進を促す。このため、がんは同化作用に必須な栄養素に対する依存性を持つようになることがある。マウスでは、セリンなどいくつかの非必須アミノ酸が腫瘍増殖に必要であることが示されていた。今回、内因性腫瘍マウスモデルでセリン枯渇の影響が調べられ、異なる発がん性適応が、腫瘍の外因性セリンへの依存を引き起こしたり、その細胞でのセリン合成を亢進させたりする仕組みが明らかになった。外因性セリンへの依存により、腫瘍はセリン枯渇食に対して感受性を持つようになり、そしてこの腫瘍増殖への影響は、抗酸化応答を弱めることにより増幅できる。著者たちは、がんの代謝脆弱性を将来治療にどのように利用できるかを検討するための一歩を踏み出した。
2017年4月20日号の Nature ハイライト
疫学:流行の進化
神経科学:シナプス後部でAMPA受容体エキソサイトーシスを仲介するもの
生化学:オキセタノシンAの生合成
構造生物学:GPCRの新たに見つかった状態
材料科学:ガラスを3D印刷する
気候科学:融解水の流出が棚氷を安定させる
進化学:先史時代の歯垢から明らかになるネアンデルタール人の食生活
神経変性疾患:神経変性疾患治療
がん:食餌制限によるがん治療の検討