Nature ハイライト
神経変性:ポリQ鎖がオートファジーを調節する
Nature 545, 7652
さまざまなタンパク質で見られるポリグルタミン(ポリQ)鎖の伸長は、多くの神経変性疾患に共通する特徴である。多くの正常タンパク質にもポリQ鎖はあるが、その機能は分かっていない。D Rubinszteinたちは今回、正常なアタキシンタンパク質中のポリQ鎖が、オートファジーの分解過程に関わっていることを明らかにしている。ポリQ鎖の働きによって、アタキシン3がオートファジーのメディエーターであるベクリン1と結合できる。それにより、アタキシン3がベクリン1を脱ユビキチン化してプロテアソームによる分解を防ぎ、ベクリン1がオートファジーを開始できるようにする。著者たちは、この知見の妥当性をニューロンのオートファジー過程で実証しただけでなく、疾病条件下では、変異型タンパク質のポリQ鎖がアタキシン3のポリQ鎖と競合してベクリン1の安定化を妨げ、飢餓誘導性のオートファジーを阻害することも明らかにしている。
2017年5月4日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化の停滞の分析
神経幹細胞:オルガノイドの光明
神経幹細胞:シャーレの中で前脳をモデル化する
免疫学:PD-1阻害治療応答の血液バイオマーカー
構造生物学:多段階を経て起こるヌクレオシド輸送
物性物理学:凍結電荷による伝導
物性物理学:熱の量子
細胞生物学:ミトコンドリアのカルシウム交換に依存する恒常性
神経変性:ポリQ鎖がオートファジーを調節する