Nature ハイライト
神経幹細胞:オルガノイドの光明
Nature 545, 7652
ヒト脳の三次元細胞モデルであるオルガノイドは、脳の発生や疾患のin vitroでの研究を可能にしているが、正確にどの細胞が作られていて、脳の複雑性がどの程度再現されているのかは不明である。P Arlottaたちは今回、3~9か月およびそれ以降の発生段階にある30以上のオルガノイドから単離した細胞について、液滴を用いた単一細胞の遺伝子発現解析を行い、多能性幹細胞から分化したヒト脳オルガノイド内の細胞の種類を詳細に調べている。オルガノイド内では多様なニューロンおよび前駆細胞が生成されていることが明らかになり、より成熟したオルガノイドでは樹状突起スパインや電気的に活性なネットワークが形成されていて、こうしたネットワークが光刺激に応答することが示された。著者たちは、オルガノイドを用いることで、生理学的な感覚機構を使った神経回路機能の研究が促進するのではないかと考えている。
2017年5月4日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化の停滞の分析
神経幹細胞:オルガノイドの光明
神経幹細胞:シャーレの中で前脳をモデル化する
免疫学:PD-1阻害治療応答の血液バイオマーカー
構造生物学:多段階を経て起こるヌクレオシド輸送
物性物理学:凍結電荷による伝導
物性物理学:熱の量子
細胞生物学:ミトコンドリアのカルシウム交換に依存する恒常性
神経変性:ポリQ鎖がオートファジーを調節する