Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化の停滞の分析
Nature 545, 7652
1998年のエルニーニョに伴って全球平均気温が急上昇した後、気候システムの温暖化が数年間鈍化し、わずかに寒冷化すらしたようである。「停滞」、「中断」、「減速」とさまざまに呼ばれるこの期間は、エルニーニョと自然変動に対する我々の理解を踏まえると、意外なことではなかったはずである。しかし、温暖化の鈍化が認識された直後には、モデルと観測の結果が乖離しているように思われ、重要な過程をモデルが見落としているのではないかという問題が提起された。その後、地球温暖化は再開したが、この停滞現象は、活発な研究の引き金となった。今回I Medhaugたちは、文献を統合し、モデルと観測証拠を再評価している。彼らの評価は、モデルとデータの間の見かけの矛盾を解消し、気候システムの根底にある物理に対する我々の理解を修正する必要性を除去している。この停滞現象は、結局は自然変動の事象の1つだったのである。
2017年5月4日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化の停滞の分析
神経幹細胞:オルガノイドの光明
神経幹細胞:シャーレの中で前脳をモデル化する
免疫学:PD-1阻害治療応答の血液バイオマーカー
構造生物学:多段階を経て起こるヌクレオシド輸送
物性物理学:凍結電荷による伝導
物性物理学:熱の量子
細胞生物学:ミトコンドリアのカルシウム交換に依存する恒常性
神経変性:ポリQ鎖がオートファジーを調節する