Nature ハイライト
物性物理学:凍結電荷による伝導
Nature 545, 7652
電子–電子多体相互作用の解明は物性物理学における主題の1つであり、ナノスケールのデバイスによって、その根底にある原理の単一電子レベルでの研究が可能になる。M Desjardinsたちは今回、マイクロ波回路内に配置したカーボンナノチューブ量子ドットを調べることによって、注目すべき電子–電子相互作用効果を明らかにしている。彼らは、この量子ドットを強電子相関の典型である近藤領域に調節し、電子的測定とマイクロ波測定を併用した。その結果、電子は量子ドットへトンネリングできないため電荷が事実上凍結されているにもかかわらず、量子ドットの電子伝導性は維持されていることが分かった。この現象は、強い近藤相関に起因する。著者たちは、今回の測定プラットフォームが、他のさまざまな相関系における電荷ダイナミクスを調べるのに役立つツールになる可能性があると示唆している。
2017年5月4日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化の停滞の分析
神経幹細胞:オルガノイドの光明
神経幹細胞:シャーレの中で前脳をモデル化する
免疫学:PD-1阻害治療応答の血液バイオマーカー
構造生物学:多段階を経て起こるヌクレオシド輸送
物性物理学:凍結電荷による伝導
物性物理学:熱の量子
細胞生物学:ミトコンドリアのカルシウム交換に依存する恒常性
神経変性:ポリQ鎖がオートファジーを調節する