Nature ハイライト
神経幹細胞:シャーレの中で前脳をモデル化する
Nature 545, 7652
GABA作動性ニューロンは、脳機能に重要な役割を持ち、多くの精神疾患に関係するとされている。GABA作動性ニューロンは、前脳の腹側から背側に長距離移動した後、皮質回路に統合される。こうした細胞間相互作用中のGABA作動性ニューロンの分化をin vitroでモデル化できれば、ニューロンの移動異常に関係したヒト脳障害の原因を研究できるだろうが、これまで難しかった。今回S Paşcaたちは、腹側前脳または背側前脳に類似した三次元的スフェロイドを作る手法を開発した。これら2種のスフェロイドをin vitroで合体させると、ヒト発生で見られるのと同様な介在ニューロンの皮質への域間移動が起こり、背側の皮質グルタミン酸作動性ニューロンと機能的なシナプスを作った。この方法で、ティモシー症候群患者由来の介在ニューロンが、移動パターンの異常を示すことが分かった。
2017年5月4日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化の停滞の分析
神経幹細胞:オルガノイドの光明
神経幹細胞:シャーレの中で前脳をモデル化する
免疫学:PD-1阻害治療応答の血液バイオマーカー
構造生物学:多段階を経て起こるヌクレオシド輸送
物性物理学:凍結電荷による伝導
物性物理学:熱の量子
細胞生物学:ミトコンドリアのカルシウム交換に依存する恒常性
神経変性:ポリQ鎖がオートファジーを調節する