Nature ハイライト
幹細胞:P53変異を持つヒト多能性幹細胞の増幅
Nature 545, 7653
ある条件下で培養されたヒト多能性幹(hPS)細胞では、特定のゲノム部位においてコピー数多型が生じることが知られているが、このような培養における変異獲得がどの程度なのかは分かっていない。K Egganたちは今回、140のヒト胚性幹(hES)細胞株(それらの中には臨床利用に向けて準備中のものもある)のエキソームを調べた結果について報告している。彼らは、5つの無関係なhES細胞株の細胞亜集団でTP53遺伝子にモザイク変異を見いだし、これらの変異を持つ細胞は、変異のない細胞との競争に勝ち、分化しやすいことを明らかにした。また、別の14のhES細胞株と100以上のヒト誘導PS細胞株について公開されているデータベースを調べることでも同様の変異が見つかった。この研究は、hPS細胞に由来する細胞の特徴を、臨床で使用する前に詳細に明らかにする必要があることを強調している。
2017年5月11日号の Nature ハイライト
水文学:渇きを癒やす氷河
がん:皮膚がんサブタイプのゲノム塩基配列解読
神経科学:持続的な神経興奮が運動計画を支援する
がん幹細胞:がん幹細胞の可塑性を解析する
量子物理学:1レーザー分子操作
幹細胞:P53変異を持つヒト多能性幹細胞の増幅
細胞シグナル伝達:水溶性Wntアゴニスト
免疫学:自己免疫対立遺伝子