Nature ハイライト
がん:脂質の分解が治療抵抗性をもたらす
Nature 547, 7664
がん細胞は生物学的に異なった状態をとることがあり、それが治療に対する抵抗性に影響し得る。間葉系表現型が薬剤抵抗性と関連付けられているが、その状態の基盤となる機構はよく分かっていない。今回S Schreiberたちは、間葉系表現型を持つ腫瘍細胞が、脂質代謝を変化させる酵素GPX4の阻害に対して、選択的に感受性を示すことを明らかにしている。GPX4は過酸化脂質を消失させ、その結果として、フェロトーシス細胞死を引き起こす鉄介在性反応を阻害する。これらの知見によって、間葉系状態への転換を起こして他の治療薬の作用を免れるようになったがんを標的とする新たな観点が示された。
2017年7月27日号の Nature ハイライト
腫瘍免疫学:PTPN2の欠失が腫瘍抑制を高める
エピジェネティクス:非カノニカルなゲノムインプリンティング
応用物理学:脳ネットワークのコンピューター化で音声認識
有機化学:柔軟な抗生物質の構造を突き止める
環境科学:生物多様性喪失の脅威は手付かずの景観で最大となる
神経科学:シナプスが情景を設定する
がん:脂質の分解が治療抵抗性をもたらす
遺伝学:放射線曝露の副次的影響についての分子レベルの手掛かり
構造生物学:カンナビノイド受容体の構造