Nature ハイライト
がん:HATを阻害して腫瘍を狙い撃ち
Nature 550, 7674
ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)とヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、ヒストンのリシン残基でのアセチル基の付加あるいは除去を触媒し、クロマチンの調節や転写に重要な役割を担っている。HDAC阻害剤は一部のがんの治療薬として臨床で使用されているが、ドラッグライクな、つまり医薬品として通用するような性質を持つHAT阻害剤の開発はずっと難しいとされてきた。今回K Brombergたちは、HATのp300とCBPに対する強力で選択的な触媒阻害剤である小型の分子を開発し、その作用機序を明らかにした。さらに、がん細胞系列とマウスを使った研究で、この分子が一部の細胞系列に特異性を持ち、複数種の腫瘍の増殖を阻害することが実証された。これらの知見は、HATの触媒活性を標的にした治療の有効性をはっきり示している。
2017年10月5日号の Nature ハイライト
幹細胞:胚発生における遺伝子機能を調べる
タンパク質設計:標的治療用の「デザイナータンパク質」
天文学:異なる種類の超新星
工学:コンピューターによる構造設計
フォトニクス:X線装置用の印刷可能なペロブスカイト
太陽電池:高効率太陽電池の大面積化
気候科学:グリーンランドの成長するデルタ
生態学:緯度に伴う森林多様性の変化
ウイルス学:ウイルスがZAPによる認識を回避する方法
がん:HATを阻害して腫瘍を狙い撃ち