Nature ハイライト
微生物学:マウスの腸内細菌は食塩感受性高血圧を抑制する
Nature 551, 7682
ヒトの疾患に腸内微生物相が役割を果たすことは、広く認められつつある。D Müllerたちは、塩分を多く含む食餌がマウスの腸内微生物相の構成を変化させ、乳酸菌の一種である共生細菌のLactobacillus murinusの数を大幅に減らし、その代謝産物であるインドールの産生を低下させることを報告している。塩分を多く含む食餌が病原性の17型ヘルパーT(TH17)細胞の生成を引き起こし、これがさらに高血圧や自己免疫と結び付くことは、以前の研究で示唆されている。塩分を多く含む食餌を与えられているマウスにL. murinusを投与すると、能動的に誘導された自己免疫性脳脊髄炎や食塩感受性高血圧の塩分による悪化が防止され、これがTH17細胞の生成抑制を介していることが、今回明らかになった。さらに少数のヒト被験者でのパイロット研究で、塩の投与量を増やすと血圧上昇とTH17細胞の増加が引き起こされ、これが腸内のLactobacillus類の減少を伴うことも示された。だが、マウスでのこれらの知見がヒトでも通用するかどうかを決めるには、さらなる研究が必要である。
2017年11月30日号の Nature ハイライト
原子物理学:多体系の量子シミュレーション
微生物学:マウスの腸内細菌は食塩感受性高血圧を抑制する
原子物理学:高エネルギーニュートリノの相互作用断面積
触媒:メタンの変換を触媒する
考古学:富の不平等の拡大の歴史
細胞生物学:不可分の繋留タンパク質とSNARE
がん:腫瘍は酸素レベルに適応する
微生物学:腸内細菌の調剤術
構造生物学:転写共役修復複合体の構造を解明