Nature ハイライト

考古学:富の不平等の拡大の歴史

Nature 551, 7682

好況や不況などの経済的変動に関する数々のニュースの裏には、富の不平等というさらに根深い問題がある。しかし、その歴史はどのようなもので、さまざまに異なる富の分配を決定付ける、より大きな社会的要因とは一体何なのだろうか。今回T Kohlerたちは、家屋のサイズを代理指標として用いて富の不平等の指標となるジニ係数を算出し、約1万1000年前の新石器時代以降の世界的な不平等の進化を調べている。その結果、当然ではあるが、富の不平等は全体として拡大してきたことが分かった。しかし意外にも、不平等の拡大は、旧世界(ヨーロッパおよびアジア)の方が新世界(北米および中米)よりもはるかに大きかった。新世界では、都市部の遺跡でも家屋のサイズは概して似通っており、旧世界の都市状況から連想されるような巨大な宮殿は存在しない。著者たちは、そうした不均衡は、大型の家畜によってもたらされる必然的な富によって説明できると示唆している。例えば、馬の家畜化は、それを乗り回して他者から富を獲得することを可能にした。

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