Nature ハイライト
考古学:富の不平等の拡大の歴史
Nature 551, 7682
好況や不況などの経済的変動に関する数々のニュースの裏には、富の不平等というさらに根深い問題がある。しかし、その歴史はどのようなもので、さまざまに異なる富の分配を決定付ける、より大きな社会的要因とは一体何なのだろうか。今回T Kohlerたちは、家屋のサイズを代理指標として用いて富の不平等の指標となるジニ係数を算出し、約1万1000年前の新石器時代以降の世界的な不平等の進化を調べている。その結果、当然ではあるが、富の不平等は全体として拡大してきたことが分かった。しかし意外にも、不平等の拡大は、旧世界(ヨーロッパおよびアジア)の方が新世界(北米および中米)よりもはるかに大きかった。新世界では、都市部の遺跡でも家屋のサイズは概して似通っており、旧世界の都市状況から連想されるような巨大な宮殿は存在しない。著者たちは、そうした不均衡は、大型の家畜によってもたらされる必然的な富によって説明できると示唆している。例えば、馬の家畜化は、それを乗り回して他者から富を獲得することを可能にした。
2017年11月30日号の Nature ハイライト
原子物理学:多体系の量子シミュレーション
微生物学:マウスの腸内細菌は食塩感受性高血圧を抑制する
原子物理学:高エネルギーニュートリノの相互作用断面積
触媒:メタンの変換を触媒する
考古学:富の不平等の拡大の歴史
細胞生物学:不可分の繋留タンパク質とSNARE
がん:腫瘍は酸素レベルに適応する
微生物学:腸内細菌の調剤術
構造生物学:転写共役修復複合体の構造を解明