Nature ハイライト
微生物学:腸内細菌の調剤術
Nature 551, 7682
ヒトのマイクロバイオームは、健康に大きく影響する。ヒトの腸内微生物はさまざまな小分子を産生し、その多くは問題となるほどの濃度に達することがあるが、微生物の代謝経路やそれが宿主に影響を及ぼす仕組みについては、ほとんど解明されていない。今回J SonneneburgとM Fischbachたちは、遺伝学的手法と代謝プロファイリングを用いて、腸内共生細菌Clostridium sporogenesが持つ芳香族アミノ酸の代謝に関わる遺伝子クラスターを明らかにした。このような代謝産物のうちの複数が、腸内微生物相だけによって産生されている。例えば、神経保護作用のあるインドールプロピオン酸(IPA)は、C. sporogenes以外にも数種類の腸内細菌が産生している。細菌コロニーが制御されているマウスでは、C. sporogenesに遺伝学的操作を加えるとIPAの血清レベルや宿主の生理状態を変化させることができる。
2017年11月30日号の Nature ハイライト
原子物理学:多体系の量子シミュレーション
微生物学:マウスの腸内細菌は食塩感受性高血圧を抑制する
原子物理学:高エネルギーニュートリノの相互作用断面積
触媒:メタンの変換を触媒する
考古学:富の不平等の拡大の歴史
細胞生物学:不可分の繋留タンパク質とSNARE
がん:腫瘍は酸素レベルに適応する
微生物学:腸内細菌の調剤術
構造生物学:転写共役修復複合体の構造を解明