Nature ハイライト
原子物理学:多体系の量子シミュレーション
Nature 551, 7682
リチャード・ファインマンは1982年に、コンピューターの素子間にさまざまな複雑な相互作用を誘起することによって物質の状態をシミュレートする手法として、量子コンピューターを提唱した。ここ数年で、量子シミュレーターが現実のものとなっており、キュービットを用いた方法もいくつかある。例えば、個別に制御される少数個のキュービットを用いて分子や量子磁性体のシミュレーションがすでに行われている。しかし、古典的コンピューターの能力を超えるタスクを実行することは依然として困難であった。今週号では2報の論文で、制御されるキュービットの数が過去最多となる量子シミュレーターが実証されている。M Lukinたちは51個の低温リュードベリ原子を、C Monroeたちは53個の捕捉イオンを用いて、イジング型量子磁性体における相転移を調べている。どちらのグループも、古典的なコンピューターで扱うことが困難な新しい多体相互作用を観測した。
2017年11月30日号の Nature ハイライト
原子物理学:多体系の量子シミュレーション
微生物学:マウスの腸内細菌は食塩感受性高血圧を抑制する
原子物理学:高エネルギーニュートリノの相互作用断面積
触媒:メタンの変換を触媒する
考古学:富の不平等の拡大の歴史
細胞生物学:不可分の繋留タンパク質とSNARE
がん:腫瘍は酸素レベルに適応する
微生物学:腸内細菌の調剤術
構造生物学:転写共役修復複合体の構造を解明