Nature ハイライト
高エネルギー物理学:陽子の立てる航跡波で加速する
Nature 561, 7723
プラズマ航跡場加速では、高速の電子バンチやレーザーパルスを使って、通常は定常的なプラズマ中に電荷の「航跡」を生成する。その結果、このプラズマ航跡場に乗った粒子、例えば電子を大きく加速でき、従来の粒子加速器で必要な数百メートルよりもずっと短い長さで、ギガ電子ボルト領域のエネルギー利得を得ることができる。今回、CERNのAWAKEコラボレーションは、高速の電子バンチを陽子バンチに置き換えた陽子駆動型のプラズマ航跡場加速の実証実験を示し、長さ10 mのプラズマ中の航跡場において電子が最高2 GeVまで加速したことを示す証拠を報告している。AWAKE実験は始まったばかりであるが、この有望な最初の検証結果は、将来の高エネルギー粒子加速器がさらに小型の方式となる可能性を示唆している。
2018年9月20日号の Nature ハイライト
がん:脳を標的とするT細胞
構造生物学:チャネルロドプシンにおける光駆動型の陰イオン透過
天文学:GW170817の超光速運動
高エネルギー物理学:陽子の立てる航跡波で加速する
計測学:タイミングが全て
気候科学:後期更新世における氷床の後退
神経科学:運動で生じる音を抑える仕組み
再生:脊髄を治療する
細胞生物学:有糸分裂の四次元マッピング
生物工学:検出可能なオフターゲット変異を生じないCRISPR編集