Nature ハイライト

地質学:地球最古の生命の痕跡への疑義

Nature 563, 7730

以前の研究でストロマトライトであるとされた構造物(黄色の矢印)。この露出には下向きの類似構造(赤色の矢印)も認められ、一連の構造物が海底からの上向きの成長を示唆するものではないことが示された。
以前の研究でストロマトライトであるとされた構造物(黄色の矢印)。この露出には下向きの類似構造(赤色の矢印)も認められ、一連の構造物が海底からの上向きの成長を示唆するものではないことが示された。 | 拡大する

Credit: Abigail Allwood

地球上の生命は、地球環境が生命の生存を支えるのに十分適したものになるのとほぼ同時に出現したように見受けられる。最古の微生物が34億年以上前に存在したことを示す証拠は、かつては物議を醸したものの、現在では広く受け入れられている。2016年、A Nutmanたちは、グリーンランドの岩石から37億年前の微生物由来の構造物の証拠を発見し、報告した。この年代の岩石は希少で、屈曲や伸展、褶曲、加熱などの変成作用を受けていることが多いため、その特徴の解釈は常に議論の的となっている。今回A Allwoodたちは、Nutmanたちが調べた露出を訪れてこれを再評価し、ストロマトライト(微生物群集が作り出した巨視的な層状構造物)であるとされた構造物が、有機生命体が関与する過程とは無関係の、変形の特徴であることを示している。一方、地球上の初期の生命の存在に関してはこれをさらにさかのぼる年代のものも主張されており、地球最古の生命の痕跡を探す旅、そしてそれに伴う議論は今後も続くだろう。

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