Nature ハイライト
神経科学:ショウジョウバエのCO2への誘引は行動状態に応じて変化する
Nature 564, 7736
キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)は酵母を餌とし、酵母は腐りかけの植物質で増殖して発酵中に二酸化炭素(CO2)とエタノールを放出するが、実験室実験では、ショウジョウバエはCO2を忌避することが示されている。今回M Dickinsonたちは、飛行中のショウジョウバエと歩行中のショウジョウバエはどちらも、採餌に関して活動的な状態にあるときにはCO2に誘引されるが、活動レベルの低い状態にあるときにはCO2を忌避することを明らかにし、ハエの行動の矛盾を解決した。この忌避行動は、おそらく呼吸性アシドーシスを避けるためか、CO2を探す寄生生物を避けるためと思われる。対照的に、どのような行動状態にあるときでも、ハエはエタノールに誘引される。エタノールは酵母の発酵に固有のシグネチャーであるが、CO2は、酵母以外の多くの自然過程でも発生するからである。
2018年12月20日号の Nature ハイライト
古生物学:ジュラ紀の海生爬虫類に見られる皮膚の配色および脂肪層
神経科学:苦難をも乗り越える強迫的欲求
構造生物学:天然状態の水晶体中にあるギャップ結合チャネルの構造
天文学:惑星状星雲中で生成される希少同位体
核物理学:アクチノイドの質量非対称な分裂の謎
物性物理学:ひねりの効いたカシミール効果
神経科学:ショウジョウバエのCO2への誘引は行動状態に応じて変化する
幹細胞:血液の起源
医学研究:心臓の異種移植に成功
免疫学:ノンコーディングRNAの翻訳が免疫応答に重要な役割を果たす
生物工学:改変された直交性「ステープル型」リボソームが示す新たな機能性