Nature ハイライト
生物工学:改変された直交性「ステープル型」リボソームが示す新たな機能性
Nature 564, 7736
細菌のリボソームは2つのサブユニットからなり、一方は16SリボソームRNA(rRNA)、もう一方は23S rRNAが中心となっている。天然には存在しないアミノ酸を含むタンパク質を合成する方法の1つが、16S rRNAと23S rRNAの両方に変異が含まれる直交性リボソームの使用である。しかしこれまで、内在性rRNAがそのまま存在する状況下でこのような変異型rRNAの発現が行われていたため、完全に直交性ではない混成DNAが生じてしまい、研究の進展が阻まれていた。今回J Chinたちは、「ステープル型」、つまりホチキスの針(ステープル)に当たるRNAで連結された直交性リボソームを構築し、これを唯一の翻訳装置として使う細胞を作り出した。このような細胞は、増殖に関して目立った表現型は示さず、しかもカノニカルなリボソームでは翻訳が難しいアミノ酸配列をポリマー化できる。
2018年12月20日号の Nature ハイライト
古生物学:ジュラ紀の海生爬虫類に見られる皮膚の配色および脂肪層
神経科学:苦難をも乗り越える強迫的欲求
構造生物学:天然状態の水晶体中にあるギャップ結合チャネルの構造
天文学:惑星状星雲中で生成される希少同位体
核物理学:アクチノイドの質量非対称な分裂の謎
物性物理学:ひねりの効いたカシミール効果
神経科学:ショウジョウバエのCO2への誘引は行動状態に応じて変化する
幹細胞:血液の起源
医学研究:心臓の異種移植に成功
免疫学:ノンコーディングRNAの翻訳が免疫応答に重要な役割を果たす
生物工学:改変された直交性「ステープル型」リボソームが示す新たな機能性