Nature ハイライト
Cover Story:融解の実情:氷床融解の機構と影響のより正確な描像
Nature 566, 7742
今週号の2報の論文は、融解する氷床に注目している。N Golledgeたちは、グリーンランド氷床と南極氷床の融解水の連鎖的な影響を調べている。彼らは、衛星による最近の氷床質量の変化の測定結果を用いて現行のシミュレーションを改善し、将来の氷床融解によって2100年までに海水準が最大25 cm上昇するとともに、海洋循環の主要な部分が減速して、南極の融解がさらに進み、気候の変動性が増大することを示している。一方、T Edwardsたちは、南極大陸では棚氷が融解すると沿岸の氷崖が急速に崩壊するという海氷崖不安定性(MICI)仮説を再考している。彼らは、過去の海水準上昇の説明には氷崖の崩壊は必要ではないことを見いだしており、予測にこの仮説を含める必要性に疑問を投げ掛けている。EdwardsたちのMICIを含めないモデルでは、2100年までの予測で、全ての95パーセンタイル値が43 cm未満であった。
2019年2月7日号の Nature ハイライト
量子物理学:多体物理学の新しい解釈
加齢:レトロトランスポーザブルエレメントが老化細胞でインフラメージングを引き起こす
構造生物学:ついに明らかになったクラスC GPCRの構造
オプトメカニクス:振動子を極限まで追い込む
生化学:自然が作るN–N結合
神経科学:幹細胞機能の翻訳調節
生物工学:CopyCatはマウスで超メンデル遺伝を誘導する
免疫学:樹状突起伸長の仕組み
生理学:腸管の上皮細胞間Tリンパ球が全身の代謝を調節する
がんモデル:がんの成長パターン
細胞生物学:Sec61チャネルの構造