Nature ハイライト
Cover Story:選択圧の下で:免疫系ががんの進化を方向付ける仕組み
Nature 567, 7749
今週号では、TRACERxコンソーシアムのN McGranahanとC Swantonたちが、腫瘍の進化と体内の免疫系の間の関係について探っている。彼らは、進行度の低い非小細胞肺がん88例において、RNA塩基配列解読と腫瘍内の免疫細胞の数の推定を行い、免疫微小環境から受ける選択圧によって、免疫防御を回避できる腫瘍が選ばれる仕組みを明らかにしている。今回の結果は、免疫微小環境のばらつきが、患者間だけでなく同一の腫瘍内でも大きいことを示している。研究チームは、腫瘍の進化は免疫編集によって形作られており、これによって免疫応答回避のための異なる複数の進化的経路が生じ、患者の臨床転帰の不良につながると示唆している。表紙は、肺がんの微小環境における腫瘍浸潤CD8 T細胞の多様な分布を表している。
2019年3月28日号の Nature ハイライト
がん遺伝学:がんにおけるヒストン変異の解析
構造生物学:細菌内膜からのリポ多糖の移動
量子物理学:量子プロセッサーの誤り軽減
材料科学:柔粘性結晶を用いる冷却技術
がん治療:組織球性新生物におけるMEK阻害
免疫学:T細胞寛容におけるNR4A1の役割
免疫学:NR4A欠損T細胞は腫瘍負荷を軽減する
エピジェネティクス:ヒストンのセロトニン化
乳がん:ストレスホルモンが転移を促進する
分子生物学:BRCA1はMYCNが誘導する転写を救済する