Nature ハイライト
微生物学:微生物による薬物代謝
Nature 570, 7762
腸の微生物相は、ヒトゲノムの150倍以上の遺伝子をコードしており、治療薬を代謝する可能性のある酵素の豊富な供給源である。A Goodmanたちは今回、系統的なスクリーニング手法により、腸の微生物相の代表的な76種類の細菌が271種類の経口薬を代謝する能力を測定し、これらの薬剤の多くが実際に微生物による化学修飾を受けることを報告している。彼らは、このような活性に関与する、マイクロバイオームにコードされた酵素を特定し、マウスにおいて、これらの酵素が腸や全身の薬剤代謝に直接影響を及ぼし得ることを示している。さらに著者たちは、遺伝子エンリッチメント解析により、新しく特定された微生物代謝酵素のホモログの存在は腸の個々の分離株やヒト腸の微生物群集の薬剤代謝能を最もうまく説明するが、これらの酵素を発現する細菌株の存在量はこうした代謝能を説明しないことを明らかにしている。この枠組みは、微生物相と薬剤代謝の間の因果関係の特定に向けて道を開く可能性があり、治療的介入への示唆を含んでいる。
2019年6月27日号の Nature ハイライト
微生物学:微生物による薬物代謝
免疫学:HIV免疫原の設計と評価
量子物理学:エンタングルメントを機械的に媒介するもの
物性物理学:量子材料の画像におけるパターン認識
材料科学:磁場の最高記録
物理化学:結晶のライフサイクル
進化学:多細胞性へのカギとなる可塑性
合成生物学:合成された恒常性
生化学:合成が中途停止したタンパク質を取り除く