Nature ハイライト

進化学:多細胞性へのカギとなる可塑性

Nature 570, 7762

多細胞動物の初期進化は、単細胞性の鞭毛虫類と、海綿動物の襟細胞との間に見られる形態的類似性に結び付けられてきた。今回B Degnanたちは、海綿動物の一種であるAmphimedon queenslandicaにおいて、3種類の異なる細胞タイプの単一細胞RNAを解析し、襟細胞はこれまで考えられていたほど襟鞭毛虫類とは似ておらず、原始細胞が、もっと複雑な多細胞生物に見られる多能性関連遺伝子を発現していることを見いだしている。原始細胞は海綿動物の他のさまざまな細胞タイプへ分化できると思われ、襟細胞はそのような細胞タイプの1つだが、原始細胞へと戻ることができる。この研究は、初期の多細胞生物は、似たような細胞が集まった単純な球体ではなく、はるかに精巧だった、とする新しい見方の必要性を示している。

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