Volume 575 Number 7781

Editorial

科学は、この150年間にいくつもの大きな変化を経験してきたが、証拠と透明性がかつてないほど重要になっている。

Nature at 150: evidence in pursuit of truth p.7

doi: 10.1038/d41586-019-03304-x

News

米国カリフォルニア州で毎年発生している大規模な山火事による煙の健康リスクについて、科学者たちが今後十数年、数千人規模の調査を。

California biologists are using wildfires to assess health risks of smoke p.15

doi: 10.1038/d41586-019-03345-2

山火事による避難と停電によって、カリフォルニア州の研究機関や学会などに大きな悪影響が。

California wildfires and power outages cause disruptions for scientists p.16

doi: 10.1038/d41586-019-03302-z

サル胚の20日間にわたる体外培養の成功によって、発生の初期段階に関する貴重な知見が得られた一方、「14日ルール」などの倫理的な議論が。

Primate embryos grown in the lab for longer than ever before p.17

doi: 10.1038/d41586-019-03326-5

大西洋のセントヘレナ島に送られた解放奴隷の遺骨を対象に行われた最大規模のゲノム研究によって、奴隷たちのアフリカでの故郷が明らかに。

Genomes trace origins of enslaved people who died on remote island p.18

doi: 10.1038/d41586-019-03152-9

ルイボスティー業界が、南アフリカの先住民族の権利を認め、先住民族に利益を分配へ。

Rooibos tea profits will be shared with Indigenous communities in landmark agreement p.19

doi: 10.1038/d41586-019-03374-x

News Features

Natureの150年

150 years of Nature: a data graphic charts our evolution p.22

1869年以来、Natureがどのように進化してきたか、分野別・国別・ジェンダー別の論文数、記事の種類、キーワード、1論文当たりの著者数の変遷について図示して紹介する。

doi: 10.1038/d41586-019-03305-w

News & Views

遺伝学:DNAの構造

The structure of DNA p.35

1950年代前半、遺伝物質の正体はまだ議論の対象であった。二本鎖DNAのらせん構造の発見はこの問題を解決し、生物学を恒久的に変化させた。

doi: 10.1038/d41586-019-02554-z

高エネルギー物理学:ストレンジ粒子の検出

Detection of a strange particle p.36

1947年、それまで観測されたことのない粒子が発見された。現在、その粒子は中性K中間子と呼ばれている。この研究は、クォークとして知られる素粒子の発見につながり、最終的には素粒子物理学の標準模型の確立につながった。

doi: 10.1038/d41586-019-02841-9

神経科学:完全に記録された神経細胞信号

A breakthrough method that became vital to neuroscience p.38

元々は細胞膜のチャネルタンパク質を通って流れるイオン流を記録するために開発されたパッチクランプ法は、神経科学の確固たる手法になっている。

doi: 10.1038/d41586-019-02836-6

材料科学:ナノ材料群の誕生

Birth of a class of nanomaterial p.40

30年近く前、極めて多数の多孔質材料の合成を可能にする単純な化学原理が報告された。合成された多孔質材料の一部は、生物医学から石油化学処理までさまざまな分野で応用できる可能性がある。

doi: 10.1038/d41586-019-02835-7

古生物学:アウストラロピテクスから得られた進化に関する知見

How Australopithecus provided insight into human evolution p.41

1925年、アウストラロピテクスと呼ばれるそれまで知られていなかったアフリカのヒト属の化石がNatureの論文で報告された。この知見は、人類の祖先と類人猿が系統樹において分岐した後の初期人類の進化に関する考えを大きく変えた。

doi: 10.1038/d41586-019-02839-3

天文学:太陽に似た星を回る系外惑星の最初の発見

First exoplanet found around a Sun-like star p.43

1995年、親星との距離が水星と太陽の距離よりも近い、猛烈に熱い木星程度の質量の惑星が見つかった。この発見は、惑星形成に関する我々の考えを塗り替え、系外惑星探査の新時代につながった。

doi: 10.1038/d41586-019-02553-0

細胞生物学:細胞のアイデンティティーの再プログラム化

Cell identity reprogrammed p.44

細胞分化を逆方向に進めることができるという発見は、細胞のアイデンティティーが決まる仕組みに関する理論に疑問を投げ掛け、細胞のアイデンティティーを再プログラム化する最新の方法の基礎を築き、新たな再生医療への期待をもたらした。

doi: 10.1038/d41586-019-02834-8

大気科学:南極のオゾンホールの発見

The discovery of the Antarctic ozone hole p.46

南極上空の大気のオゾン層におけるオゾンホールの予期せぬ発見は、科学を根本から変え、20世紀において最も成功した地球環境政策の1つの制定に役立った。

doi: 10.1038/d41586-019-02837-5

免疫学:モノクローナル抗体の出現と台頭

The advent and rise of monoclonal antibodies p.47

1975年のNatureの論文で、既知の特異性を持つ抗体を産生する細胞株の作製方法が報告された。この発見は、主要な生物学的知見と、自己免疫やがんの治療の臨床的成果につながった。

doi: 10.1038/d41586-019-02840-w

材料科学:炭素が生み出したナノ革命

The nano-revolution spawned by carbon p.49

1985年、かごのような炭素分子C60フラーレンの発見が報告された。この発見は、グラフェンやカーボンナノチューブなどの材料への道を開き、ナノテクノロジーが生まれるランドマークとなった。

doi: 10.1038/d41586-019-02838-4

神経変性:変異型ハンチンチンタンパク質の選択的除去

Strategy to selectively remove mutant proteins could combat neurodegeneration p.57

今回、ハンチントン病に見られる有害タンパク質の濃度を、正常なタンパク質に影響を及ぼさずに低減させる化合物が見いだされた。この化合物は、変異タンパク質および細胞のタンパク質除去機構と相互作用する。

doi: 10.1038/d41586-019-03243-7

工学:ナノ磁石によって制御されるソフトマイクロボット

Soft microbots programmed by nanomagnets p.58

今回、ナノスケールの磁石のアレイを組み立てて、微視的なロボットの構成要素となる磁化したパネルを作り、磁場を使ってこのロボットの形状と動きを制御することができた。

doi: 10.1038/d41586-019-03363-0

がん遺伝学:転移する腫瘍のゲノム

Huge whole-genome study of human metastatic cancers p.60

がんの転移を可能にする遺伝子変化をより深く理解することは、極めて重要である。今回の転移性がんの全ゲノム塩基配列の包括的な研究は、この目標を達成するのに役立つ。

doi: 10.1038/d41586-019-03123-0

実験物理学:陽子半径問題に関する進展

Progress on the proton-radius puzzle p.61

原子物理学と原子核物理学のそれぞれで、陽子半径の精密な測定が行われている。今回、そうして得られた両方の値が、ミューオン水素と呼ばれるエキゾチックな形態の水素の分光で得られた、盛んに議論されている結果と一致した。

doi: 10.1038/d41586-019-03364-z

Articles

実験物理学:電子–陽子散乱実験から得られた小さな陽子電荷半径

A small proton charge radius from an electron–proton scattering experiment p.147

doi: 10.1038/s41586-019-1721-2

太陽光発電:キャリア分解光ホール効果

Carrier-resolved photo-Hall effect p.151

doi: 10.1038/s41586-019-1632-2

物性物理学:単層Bi2Sr2CaCu2O8+δにおける高温超伝導

High-temperature superconductivity in monolayer Bi2Sr2CaCu2O8+δ p.156

doi: 10.1038/s41586-019-1718-x

工学:形状モーフィングマイクロマシンのナノ磁気エンコーディング

Nanomagnetic encoding of shape-morphing micromachines p.164

doi: 10.1038/s41586-019-1713-2

生体医工学:湿組織間および湿組織とデバイスの接着用の乾燥両面テープ

Dry double-sided tape for adhesion of wet tissues and devices p.169

doi: 10.1038/s41586-019-1710-5

材料科学:ダブルジャイロイド・ブロックコポリマーのソフトマター結晶におけるメソ原子ひずみの観察

Seeing mesoatomic distortions in soft-matter crystals of a double-gyroid block copolymer p.175

doi: 10.1038/s41586-019-1706-1

生物地球化学:カリフォルニア州におけるメタンの大量排出源

California’s methane super-emitters p.180

doi: 10.1038/s41586-019-1720-3

進化学:アフリカ南部の古湿地における人類の起源と最初の移動

Human origins in a southern African palaeo-wetland and first migrations p.185

doi: 10.1038/s41586-019-1714-1

社会科学:科学、起業、安全の領域にわたって失敗のダイナミクスを定量化する

Quantifying the dynamics of failure across science, startups and security p.190

doi: 10.1038/s41586-019-1725-y

神経科学:皮質および視床の神経接続の階層的組織化

Hierarchical organization of cortical and thalamic connectivity p.195

doi: 10.1038/s41586-019-1716-z

神経変性:HTT–LC3リンカー化合物を用いて変異型HTTタンパク質を対立遺伝子選択的に減らす

Allele-selective lowering of mutant HTT protein by HTT–LC3 linker compounds p.203

doi: 10.1038/s41586-019-1722-1

がん遺伝学:転移性固形腫瘍の全がん全ゲノム解析

Pan-cancer whole-genome analyses of metastatic solid tumours p.210

doi: 10.1038/s41586-019-1689-y

がん:臨床研究中のKRAS(G12C)阻害剤であるAMG 510は抗腫瘍免疫を引き起こす

The clinical KRAS(G12C) inhibitor AMG 510 drives anti-tumour immunity p.217

doi: 10.1038/s41586-019-1694-1

微生物学:ヒトの腸内細菌は後天性細菌間防御系を含む

Human gut bacteria contain acquired interbacterial defence systems p.224

doi: 10.1038/s41586-019-1708-z

遺伝学:SDH欠失GISTでは染色体トポロジーの変化が発がんプログラムを駆動する

Altered chromosomal topology drives oncogenic programs in SDH-deficient GISTs p.229

doi: 10.1038/s41586-019-1668-3

分子生物学:ファンコニ貧血モノユビキチンリガーゼ複合体の構造

Structure of the Fanconi anaemia monoubiquitin ligase complex p.234

doi: 10.1038/s41586-019-1703-4

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