Nature ハイライト
神経変性:厄介ものを取り除く
Nature 575, 7781
ハンチントン病は、ハンチンチンタンパク質(HTT)をコードする遺伝子の変異が原因である。この変異は、ハンチンチンタンパク質中のポリグルタミン反復配列の伸長や、それに関連する毒性の機能獲得を引き起こす。この変異が見つかったのは25年以上前だが、ハンチントン病はいまだに治癒が見込めない疾患である。変異タンパク質レベルを低下させることは、治療法として有望そうだが、正常なHTTは生存に必要であるため、どのような治療法であれ、対立遺伝子特異的でなければならないと予想される。Z Liたちは今回、変異型HTTを一掃するための新たな方法を報告している。彼らは、変異型HTTと、オートファジーに密接に関わっている分子LC3の両方に結合する小分子のスクリーニングを行い、この2つを連結する化合物を複数見つけ出した。これらは正常なHTTや基礎レベルのオートファジーは変化させずに、変異型HTTのオートファジーを選択的に増加させる。マウスの初代培養ニューロンやヒトiPSC、ハンチントン病のショウジョウバエモデルやマウスモデルで概念実証がなされた。この独創的な新手法は、もっと広く、少なくとも他のポリグルタミン疾患に対しては、適用できる可能性がある。
2019年11月7日号の Nature ハイライト
実験物理学:陽子半径の見直し
物性物理学:銅酸化物超伝導体を二次元にする
工学:羽ばたく鳥型ロボット
進化学:そこは「エデンの園」だったのか
社会科学:成功と失敗を予測する
神経変性:厄介ものを取り除く
がん遺伝学:転移性腫瘍の全がん全ゲノム解析
がん:変異型KRAS阻害剤の最初の臨床活性
微生物学:腸内微生物群を免疫で武装
分子生物学:2つの顔を持つ巨大複合体