Nature ハイライト
実験物理学:陽子半径の見直し
Nature 575, 7781
陽子電荷半径の値はいくつなのか。2010年から議論が続いていることから明らかなように、この一見したところ単純な質問に対する簡単な答えはなく、これは「陽子半径問題」と呼ばれることがある。ミューオン水素の分光測定から、陽子電荷半径の値は、電子–陽子散乱実験と水素の分光測定を通して以前に見いだされた値よりも小さいと報告されたことで、過去のデータを再検討し、理論的な枠組みを改善するとともに、より高精度でモデルにあまり厳しく依存しない新たな測定を行う必要性が明らかになった。今回、米国ジェファーソン研究所のPRadコラボレーションが、陽子電荷半径を決定する最新の電子散乱実験の結果を報告している。今回見いだされた値は、ミューオン水素の研究と一致しており、これによって、同様に高精度の電子–陽子散乱を使った研究で以前に得られていた値よりも小さな半径が裏付けられた。
2019年11月7日号の Nature ハイライト
実験物理学:陽子半径の見直し
物性物理学:銅酸化物超伝導体を二次元にする
工学:羽ばたく鳥型ロボット
進化学:そこは「エデンの園」だったのか
社会科学:成功と失敗を予測する
神経変性:厄介ものを取り除く
がん遺伝学:転移性腫瘍の全がん全ゲノム解析
がん:変異型KRAS阻害剤の最初の臨床活性
微生物学:腸内微生物群を免疫で武装
分子生物学:2つの顔を持つ巨大複合体