Nature ハイライト
物性物理学:強誘電体の逆相転移
Nature 577, 7788
物質の温度が下がると、対称性の破れや秩序パラメーターの出現を伴う相転移が起こることが多い。例えば、強誘電性物質における秩序パラメーターは、結晶格子中でイオンが集団変位することによって生じる電気分極である。今回Y Nahasたちは、強誘電性酸化物において逆相転移が起こることを実証している。彼らは、温度が下がるのではなく上がると、迷路相から対称性がさらに低いストライプ相への転移が起こることを示している。この転移中の分域の直線化や粗大化は、トポロジカル欠陥の緩和と拡散によって駆動される。こうした結果は、まれにしか観察されない逆相転移が強誘電体でも起こることを実証しており、観察された相とトポロジカル欠陥から、分域に基づく技術の新たな機会が得られる可能性がある。
2020年1月2日号の Nature ハイライト
天文学:赤方偏移14で始まった銀河団内の星形成
物性物理学:強誘電体の逆相転移
物理化学:二次元六方晶氷のエッジ構造と成長の原子撮像
気候科学:河氷の面積の縮小
植物発生:活性酸素種が仲介する成長
乳がん:乳がんスクリーニングに使える人工知能
医学研究:サルモデルで結核感染を予防するワクチン戦略
細胞生物学:RIPK1キナーゼは炎症性疾患を防ぐ
細胞生物学:新しいヒト自己炎症性疾患
がん:代謝が黒色腫の転移を促す
分子生物学:αシヌクレインの凝集に関わる6種類のシャペロン