Nature ハイライト
加速器物理学:高輝度ミューオンビーム
Nature 578, 7793
基礎物理学の観点では、高輝度ミューオンビームを生成できる能力は魅力的な展望である。ミューオンは電子と同様の基本粒子であり、粒子衝突実験ではビームの全エネルギーが運ばれる。さらに、ミューオンの質量は電子の207倍であるため、現行や計画中の粒子衝突型加速器で到達できるエネルギーをはるかに超える衝突エネルギーが得られると同時に、必要とする施設をずっと小さくできる可能性がある。今回、MICE(Muon Ionization Cooling Experiment;ミューオンイオン化冷却実証実験)コラボレーションによる研究によって、これらの可能性が一気に高まった。MICEコラボレーションは、その名称から予想されるように、高品質で高輝度のミューオンビームを生成・操作する加速器システムの開発において重要な一歩となる、ミューオンのイオン化冷却を達成したのである。
2020年2月6日号の Nature ハイライト
惑星科学:彗星67Pにおける軌道に起因する水のサイクル
加速器物理学:高輝度ミューオンビーム
原子分子物理学:多価イオンによる量子計測
物性物理学:室温超伝導を求めて
材料科学:複合酸化物の積層
神経科学:神経回路の生化学的影響が社会的行動を駆動する
細胞生物学:ヒト脳発生のオルガノイドモデルには改善が必要か
微生物学:溶原性ファージがCRISPRの喪失を引き起こす
ウイルス学:潜伏中のSIVとHIVを再活性化する
がん:グリオブラストーマは自身のニューロン微小環境を作り直す
構造生物学:合成タンパク質の対称性