Nature ハイライト
ウイルス学:潜伏中のSIVとHIVを再活性化する
Nature 578, 7793
HIV感染を根絶するには、このウイルスを潜伏感染細胞から追い出してから排除しなくてはならない。これはHIV治癒のための、いわゆる「ショック・アンド・キル」方式の論理的根拠である。ウイルスにショックを与えて隠れ家から追い出すこれまでの方法は最適とは言えず、非効率的であった。今回2つの研究がそれぞれ、SIV感染アカゲザルとHIV感染ヒト化マウスでロバストなウイルス再活性化を達成するための方法を報告している。G Silvestriたちは、インターロイキン15スーパーアゴニストの投与をCD8+リンパ球除去と併せて行い、投与を受けた全ての動物で、かなりの規模の持続的なウイルス再活性化を達成した。一方、V Garciaたちは、非カノニカルなNF-κBシグナル伝達経路の活性化物質を用いて、同様の結果を得ている。これらのショック法は共に、再活性化ウイルスのクリアランスを達成する殺傷成分と組み合わせる必要があるが、これまでで最も強力な潜伏ウイルス再活性化手法であり、潜伏を維持するための機序についての知見をもたらしている。
2020年2月6日号の Nature ハイライト
惑星科学:彗星67Pにおける軌道に起因する水のサイクル
加速器物理学:高輝度ミューオンビーム
原子分子物理学:多価イオンによる量子計測
物性物理学:室温超伝導を求めて
材料科学:複合酸化物の積層
神経科学:神経回路の生化学的影響が社会的行動を駆動する
細胞生物学:ヒト脳発生のオルガノイドモデルには改善が必要か
微生物学:溶原性ファージがCRISPRの喪失を引き起こす
ウイルス学:潜伏中のSIVとHIVを再活性化する
がん:グリオブラストーマは自身のニューロン微小環境を作り直す
構造生物学:合成タンパク質の対称性