Nature ハイライト
神経変性:タウの拡散を制御する
Nature 580, 7803
微小管結合タンパク質タウは、アルツハイマー病や前頭側頭型認知症などの神経変性疾患の発病において中心的な役割を担っている。これらの疾患の進行は、タウの細胞間拡散とミスフォールディング(誤った折りたたみ)を特徴とし、その結果、脳内にタウタンパク質凝集体が沈着する。J Rauchたちは今回、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)が、タウのエンドサイトーシスとその後の拡散を制御していることを示している。LRP1をノックダウンすると、グリオーマ細胞や誘導多能性幹(iPS)細胞由来ニューロンへのタウの取り込みが低下した。また、マウスのin vivoタウ伝播モデルにおけるLRP1の発現低下は、ニューロン間でのタウの伝播を効率的に低下させた。この研究は、タウの拡散に関する我々の理解を深めるとともに、LRP1がタウの伝播の重要な決定因子であり、治療介入点の1つになり得ることをはっきりと示している。
2020年4月16日号の Nature ハイライト
量子物理学:捕捉されたリュードベリイオン間の高速エンタングリングゲート
ナノスケールデバイス:より高い温度で動作するシリコン量子コンピューター
地球化学:地球マントルに保持されている集積時に受け継がれた始原的窒素の残滓
進化学:ホモ・ローデシエンシスの年代
神経変性:タウの拡散を制御する
免疫学:ヒストンメチルトランスフェラーゼSETBD1の炎症性腸疾患を防ぐ役割
免疫学:ZBP1による内因性Z-DNAの感知がRIPK3依存性のネクロトーシスや炎症を引き起こす
がん:髄芽腫の生殖細胞系列性の素因となるエロンゲーター複合体欠損
計算生物学:ヒトタンパク質のインタラクトーム
構造生物学:排出輸送体で結核菌に運び込む