Nature ハイライト

構造生物学:排出輸送体で結核菌に運び込む

Nature 580, 7803

結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による死者は、今でも毎年100万人を超える。結核菌の生存は、鉄やビタミンB12をはじめとする必須栄養素を宿主から取り込むことによっている。今回2つの論文によって、このような取り込みを行うタンパク質の構造と作用機構が明らかになった。D Slotboomたちは、ビタミンB12のような親水性化合物を取り込むABC輸送体であるRv1819cの構造を明らかにしている。この輸送体は、排出輸送体型の折りたたみが見られるにもかかわらず、親水性化合物の取り込みを行っている。一方、M Seegerたちは、シデロフォア(細菌が作る鉄キレート化合物)を取り込むIrtAB4の構造を明らかにしている。この輸送体も、排出輸送体型の折りたたみを持つ。IrtAB4には、膜の脂質二重層の内層付近に位置するシデロフォア結合ドメインがあり、その働きによって、結核菌はシデロフォアを還元して取り込むことができる。

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