Nature ハイライト

免疫学:ヒストンメチルトランスフェラーゼSETBD1の炎症性腸疾患を防ぐ役割

Nature 580, 7803

炎症性腸疾患(IBD)の感受性は、基礎となる宿主の遺伝的特徴ならびに環境要因から影響を受ける。W Moたちは今回、IBDの病変部ではヒストンメチルトランスフェラーゼSETBD1の発現低下がよく見られるという観察を基にさらに研究を進めた。SETBD1は内在性レトロウイルスエレメントのサイレンシングに役割を担うことが知られている。彼らは、SETDB1の欠失に応答したレトロトランスポゾンエレメントの再活性化がZBP1の発現上昇につながるという証拠を示している。ZBP1は自然免疫のアダプターで、核酸を感知して、RIP3(別名RIPK3)依存性のネクロトーシス細胞死を誘発する。著者たちは、幹細胞におけるSETDB1の減少とZBP1依存性経路によるネクロトーシスの誘導が、IBDの症状に重要であるかもしれないと考えており、ネクロトーシス経路の薬剤による阻害によってIBDを治療できる可能性を示している。

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