Nature ハイライト
免疫学:ヒストンメチルトランスフェラーゼSETBD1の炎症性腸疾患を防ぐ役割
Nature 580, 7803
炎症性腸疾患(IBD)の感受性は、基礎となる宿主の遺伝的特徴ならびに環境要因から影響を受ける。W Moたちは今回、IBDの病変部ではヒストンメチルトランスフェラーゼSETBD1の発現低下がよく見られるという観察を基にさらに研究を進めた。SETBD1は内在性レトロウイルスエレメントのサイレンシングに役割を担うことが知られている。彼らは、SETDB1の欠失に応答したレトロトランスポゾンエレメントの再活性化がZBP1の発現上昇につながるという証拠を示している。ZBP1は自然免疫のアダプターで、核酸を感知して、RIP3(別名RIPK3)依存性のネクロトーシス細胞死を誘発する。著者たちは、幹細胞におけるSETDB1の減少とZBP1依存性経路によるネクロトーシスの誘導が、IBDの症状に重要であるかもしれないと考えており、ネクロトーシス経路の薬剤による阻害によってIBDを治療できる可能性を示している。
2020年4月16日号の Nature ハイライト
量子物理学:捕捉されたリュードベリイオン間の高速エンタングリングゲート
ナノスケールデバイス:より高い温度で動作するシリコン量子コンピューター
地球化学:地球マントルに保持されている集積時に受け継がれた始原的窒素の残滓
進化学:ホモ・ローデシエンシスの年代
神経変性:タウの拡散を制御する
免疫学:ヒストンメチルトランスフェラーゼSETBD1の炎症性腸疾患を防ぐ役割
免疫学:ZBP1による内因性Z-DNAの感知がRIPK3依存性のネクロトーシスや炎症を引き起こす
がん:髄芽腫の生殖細胞系列性の素因となるエロンゲーター複合体欠損
計算生物学:ヒトタンパク質のインタラクトーム
構造生物学:排出輸送体で結核菌に運び込む