Nature ハイライト
Cover Story:コウモリ類クレードの秘密:6種の参照ゲノムから明らかになったコウモリの特異な能力の起源
Nature 583, 7817
コウモリは、反響定位、極めて長寿、独自の免疫系など、いくつかの並外れた適応を進化させてきた。今回E TeelingとS Vernesたちは、Bat1Kコンソーシアムによって塩基配列が解読されたコウモリ6種の参照品質のゲノムを報告している。これらの塩基配列を総合すると、コウモリの適応の進化的起源と分子基盤に関する知見を得るのに役立つ。著者たちは、哺乳類におけるコウモリの系統発生学的位置を特定し、コウモリの祖先系統において聴覚に関与する遺伝子が選択されたことを示すとともに、コウモリの非常に優れた免疫系に寄与している可能性がある分子機構の証拠を提示している。さらにこれらのゲノムは、コロナウイルスの感染にコウモリが耐性を示す仕組みの研究にも役立つはずである。将来的にはこうした研究によって、COVID-19などの疾病に対するヒトの生存率を高める方法が得られるかもしれない。
2020年7月23日号の Nature ハイライト
原子物理学:障壁の下をのぞく
物性物理学:グラフェン中の粘性流を室温で画像化
化学:開裂可能な結合を用いた分解可能な熱硬化性樹脂
歴史気候学:ヨーロッパの河川洪水の異常なパターンの出現
人類の移動:日の目を見たコンティキ号
幹細胞:単一細胞レベルで骨髄再構築を調べる
細胞生物学:加齢の特徴
神経科学:カンナビノイドはアストロサイトでの代謝を介して行動を調節する
生物工学:ミトコンドリアDNAの編集を可能にする
遺伝学:RNAの温度感受性修飾