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生化学:植物アルカロイドの生合成経路

Nature 584, 7819

植物は非常に多彩な生理活性化合物を産生している。我々はそれらを最大限に活用していて、その中には、カフェイン含有飲料や多数の処方薬、それに麻薬の多くが含まれる。しかし植物は非常に複雑なため、こういった化合物が作られる仕組みの詳細は分かっていないことが多い。今回E Sattelyたちは、医療に関わるアルカロイドで、古代エジプトの頃から痛風や炎症の治療に使われてきたコルヒチンの生合成経路を報告している。著者たちはイヌサフラン科のグロリオサ(Gloriosa superba)を使って、コルヒチン前駆体に至る経路の8個の遺伝子を明らかにした。その中にはコルヒチンの骨格を形成する環拡大反応を触媒する酵素のシトクロムP450の遺伝子が含まれている。さらに、代謝経路全体がモデル植物であるベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)で再現された。この結果によって、コルヒチンや近縁のアルカロイドのさらなる遺伝子工学的研究が容易になるだろう。

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