Nature ハイライト
発生生物学:胚発生では細胞のpHが運命を決定する
Nature 584, 7819
発生中の胚の体軸伸長には、尾芽から新たな中胚葉細胞が連続的に追加される必要がある。これらの中胚葉細胞は、神経・中胚葉共通前駆体から、その代謝活性の上昇を受けて生み出され、これが最終的にWNTシグナル伝達経路を活性化して中胚葉の運命を決定する。しかし、代謝活性の変化がこれらの細胞でWNTシグナル伝達経路を調節する仕組みについては分かっていなかった。O Pourquiéたちは今回、代謝活性によって神経・中胚葉共通前駆体の細胞内pHの上昇が引き起こされ、このpH上昇によってβカテニンの翻訳後修飾が可能になり、WNTシグナル伝達経路が活性化されて中胚葉の運命が決定されることを明らかにしている。これらの結果は、発生中の尾芽細胞が、増殖中のがん細胞(代謝活性やpH、WNTシグナル伝達における同様の変化が報告されている)に似た挙動を示すことを示唆している。
2020年8月6日号の Nature ハイライト
有機化学:光を用いたアニリン合成
海洋科学:海洋熱波は熱環境を変位させる
考古学:3万年前までさかのぼるメキシコでの人類の居住年代
考古学:人類は2万6500年前には北米大陸に定着していた
発生生物学:胚発生では細胞のpHが運命を決定する
植物生物学:成長速度の調節
コロナウイルス:SARS-CoV-2中和抗体の単離
コロナウイルス:2つのヒトモノクローナル抗SARS-CoV-2抗体の特性解析
遺伝学:クローン造血の構造パターンと選択圧を明らかにする
生化学:植物アルカロイドの生合成経路
構造生物学:SARS-CoV-2の複製