Nature ハイライト

発生生物学:胚発生では細胞のpHが運命を決定する

Nature 584, 7819

発生中の胚の体軸伸長には、尾芽から新たな中胚葉細胞が連続的に追加される必要がある。これらの中胚葉細胞は、神経・中胚葉共通前駆体から、その代謝活性の上昇を受けて生み出され、これが最終的にWNTシグナル伝達経路を活性化して中胚葉の運命を決定する。しかし、代謝活性の変化がこれらの細胞でWNTシグナル伝達経路を調節する仕組みについては分かっていなかった。O Pourquiéたちは今回、代謝活性によって神経・中胚葉共通前駆体の細胞内pHの上昇が引き起こされ、このpH上昇によってβカテニンの翻訳後修飾が可能になり、WNTシグナル伝達経路が活性化されて中胚葉の運命が決定されることを明らかにしている。これらの結果は、発生中の尾芽細胞が、増殖中のがん細胞(代謝活性やpH、WNTシグナル伝達における同様の変化が報告されている)に似た挙動を示すことを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度