Nature ハイライト

遺伝学:クローン造血の構造パターンと選択圧を明らかにする

Nature 584, 7819

今回、2つの研究によって、クローン造血に関連する遺伝的変化が報告されている。P Lohたちは、英国バイオバンクの参加者の血液由来DNAを解析することで、クローン造血の選択を引き起こす変異や変化を明らかにしている。彼らは、モザイク染色体変化やコピー数変化を伴わないヘテロ接合性の喪失(CN-LOH)を発見し、DNA損傷チェックポイントや幹細胞の自己複製に関連する変異も見いだした。Lohたちは、多遺伝子性リスクスコアの予測法を開発することにより、CN-LOH事象が、増殖を促進する遺伝性バリアントをクローン選択する強力なドライバーであると提案している。寺尾知可史(理化学研究所ほか)たちは、日本のバイオバンクの試料のデータを調べることによって、モザイク染色体変化の共通のパターンおよび集団特異的なパターンを特定している。こうした集団間の違いによって、ヨーロッパ人集団と日本人集団における造血系悪性腫瘍の発生率の差異が説明できる可能性がある。寺尾たちは、モザイク染色体変化の選択を起こす素因となる遺伝性バリアントに加えて、集団特異的な要因が加齢に伴うクローン造血の選択圧を決めると示唆している。

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