Nature ハイライト
構造生物学:SARS-CoV-2の複製
Nature 584, 7819
コロナウイルスは、そのゲノムの複製と遺伝子の転写にRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を用いている。RdRp複合体は、レムデシビルのようなヌクレオシド系阻害剤の標的である。今回P Cramerたちは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のRdRpについて、複製中の酵素を模倣した活性型のクライオ電子顕微鏡構造を決定している。RdRpのこの構造は、ウイルスタンパク質のnsp12、nsp8、nsp7、それに二本鎖RNAの2回転分を超える断片からなる。得られた構造からは、nsp12の活性部位についての知見がもたらされた他、nsp8中のヘリックス伸長部分が離れていくRNAに沿って伸びて、長いRNAゲノムの複製が終わらないうちにRdRpが解離するのを防止している可能性が明らかになった。
2020年8月6日号の Nature ハイライト
有機化学:光を用いたアニリン合成
海洋科学:海洋熱波は熱環境を変位させる
考古学:3万年前までさかのぼるメキシコでの人類の居住年代
考古学:人類は2万6500年前には北米大陸に定着していた
発生生物学:胚発生では細胞のpHが運命を決定する
植物生物学:成長速度の調節
コロナウイルス:SARS-CoV-2中和抗体の単離
コロナウイルス:2つのヒトモノクローナル抗SARS-CoV-2抗体の特性解析
遺伝学:クローン造血の構造パターンと選択圧を明らかにする
生化学:植物アルカロイドの生合成経路
構造生物学:SARS-CoV-2の複製