Nature ハイライト
植物生物学:成長速度の調節
Nature 584, 7819
植物の茎の成長、つまり植物の草丈は、植物ホルモンのジベレリン酸によって調節されている。芦苅基行(名古屋大学)たちは今回、茎の伸長にはジベレリン酸の蓄積だけでは不十分で、「アクセル因子」と「ブレーキ因子」の遺伝子の働きも必要であることを明らかにしている。彼らは、これらの遺伝子の産物の働きを分子レベルで示しただけでなく、これらの遺伝子を操作することによって、作物栽培化の歴史や環境への適応において偶然起きてきたように、倒伏しにくい草丈の低い植物の選抜や、水深の深い環境に適した草丈の高い植物の選択につながることも実証している。これらの知見は、例えば洪水に対するイネの回復力の改良といった、作物の環境適応に役立つ可能性がある。
2020年8月6日号の Nature ハイライト
有機化学:光を用いたアニリン合成
海洋科学:海洋熱波は熱環境を変位させる
考古学:3万年前までさかのぼるメキシコでの人類の居住年代
考古学:人類は2万6500年前には北米大陸に定着していた
発生生物学:胚発生では細胞のpHが運命を決定する
植物生物学:成長速度の調節
コロナウイルス:SARS-CoV-2中和抗体の単離
コロナウイルス:2つのヒトモノクローナル抗SARS-CoV-2抗体の特性解析
遺伝学:クローン造血の構造パターンと選択圧を明らかにする
生化学:植物アルカロイドの生合成経路
構造生物学:SARS-CoV-2の複製