Nature ハイライト

素粒子物理学:標準的な衝突から得られるエキゾチックな物理

Nature 588, 7837

クォークやグルーオンが関わる原子核内の物理は強い相互作用に支配されており、そうした相互作用の結果として陽子や中性子などのハドロンが形成される。これらの相互作用はハドロン間に力を発生させ、生じたハドロン間力は、散乱実験で調べることができる。しかし、エキゾチッククォークを含むハドロンは不安定なため、直接加速し散乱させることは困難である。今回ALICEコラボレーションは、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)において陽子–陽子衝突から得られた運動量相関を研究することで、不安定ハドロンを含む任意のハドロンのいかなる対の相互作用も調べられることを示している。著者たちは、ストレンジクォークを含み3つのクォークからなるハドロンであるΩハイペロンやΞハイペロンと陽子の間の相互作用を精密測定し、束縛状態の存在を明らかにした。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度