Nature ハイライト
素粒子物理学:標準的な衝突から得られるエキゾチックな物理
Nature 588, 7837
クォークやグルーオンが関わる原子核内の物理は強い相互作用に支配されており、そうした相互作用の結果として陽子や中性子などのハドロンが形成される。これらの相互作用はハドロン間に力を発生させ、生じたハドロン間力は、散乱実験で調べることができる。しかし、エキゾチッククォークを含むハドロンは不安定なため、直接加速し散乱させることは困難である。今回ALICEコラボレーションは、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)において陽子–陽子衝突から得られた運動量相関を研究することで、不安定ハドロンを含む任意のハドロンのいかなる対の相互作用も調べられることを示している。著者たちは、ストレンジクォークを含み3つのクォークからなるハドロンであるΩ−ハイペロンやΞ−ハイペロンと陽子の間の相互作用を精密測定し、束縛状態の存在を明らかにした。
2020年12月10日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:標準的な衝突から得られるエキゾチックな物理
ナノスケール材料:毛管凝縮の限界を探る
気候科学:適度に差別化した炭素課税によって得られる強力な気候緩和
生態学:脊椎動物のクラスター化した減少と全球規模の壊滅的な減少を区別する
古生物学:太古の鳥類の多様なくちばし
ゲノミクス:コムギゲノムアセンブリで世界的な遺伝的多様性を調べる
ゲノミクス:オオムギのパンゲノム
神経科学:アストロサイトは抑制性シナプスの形成を調節する
ウイルス学:ベネズエラウマ脳炎ウイルスの受容体
免疫学:COVID-19患者における免疫応答の性差
コロナウイルス:SARS-CoV-2のスパイクは膜融合のための準備を行う