Nature ハイライト
ナノスケール材料:毛管凝縮の限界を探る
Nature 588, 7837
毛管凝縮は、蒸気(通常は水)が、普通なら蒸発すると予想される条件下で、物質の細孔(または毛管)に吸着して液体として集まるなじみ深い過程である。毛管現象は、さまざまな地質学的な状況や実用的な状況で起こり、そうした状況と関連がある。19世紀に見いだされたケルビン方程式は、飽和蒸気圧の変化と凝縮した液体相上のメニスカスの曲率を関係付けるもので、毛管現象をうまく記述するが、毛管のサイズが蒸気分子のサイズまで小さくなると破綻すると予想されている。今回Q Yangたちは、二次元結晶の集合体を用いて原子スケールの毛管を明確に規定して形成した後、その内部の凝縮を測定することによって、この限界領域を探っている。いささか意外なことに、ケルビン方程式の予測はこうした極端な条件下でも、偶然ではあるが、観測結果をうまく記述するようである。こうした微小スケールでは、毛管壁の弾性変形がますます重要になる。
2020年12月10日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:標準的な衝突から得られるエキゾチックな物理
ナノスケール材料:毛管凝縮の限界を探る
気候科学:適度に差別化した炭素課税によって得られる強力な気候緩和
生態学:脊椎動物のクラスター化した減少と全球規模の壊滅的な減少を区別する
古生物学:太古の鳥類の多様なくちばし
ゲノミクス:コムギゲノムアセンブリで世界的な遺伝的多様性を調べる
ゲノミクス:オオムギのパンゲノム
神経科学:アストロサイトは抑制性シナプスの形成を調節する
ウイルス学:ベネズエラウマ脳炎ウイルスの受容体
免疫学:COVID-19患者における免疫応答の性差
コロナウイルス:SARS-CoV-2のスパイクは膜融合のための準備を行う