Nature ハイライト
生態学:脊椎動物のクラスター化した減少と全球規模の壊滅的な減少を区別する
Nature 588, 7837
生物多様性の全球的な状態を理解する試みはまだ達成されていない。過去の分析では、脊椎動物の個体数が1970年以降に平均50%以上減少したと推定された。今回B Leungたちは、この推定結果が、極端な動態を示す個体群に極めて敏感であることを明らかにしている。減少が極端な2.4%の個体群を除外すると全体の傾向は増加に転じ、増加が極端な2.4%の個体群を除外すると平均減少率は71%まで上昇したのである。極端なクラスターを統計的に分離すると、残された典型的な個体群には全球的な傾向が見られなくなった。極端な減少のクラスターは世界各地に存在していて明確な空間的パターンは見られなかったが、極端な増加のクラスターは概して温帯地域に存在していた。これらの知見は、地域とタクソンに基づく系の内部とそれらの系を総合した全体とでは、生物多様性の傾向が異なっていることを強調している。
2020年12月10日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:標準的な衝突から得られるエキゾチックな物理
ナノスケール材料:毛管凝縮の限界を探る
気候科学:適度に差別化した炭素課税によって得られる強力な気候緩和
生態学:脊椎動物のクラスター化した減少と全球規模の壊滅的な減少を区別する
古生物学:太古の鳥類の多様なくちばし
ゲノミクス:コムギゲノムアセンブリで世界的な遺伝的多様性を調べる
ゲノミクス:オオムギのパンゲノム
神経科学:アストロサイトは抑制性シナプスの形成を調節する
ウイルス学:ベネズエラウマ脳炎ウイルスの受容体
免疫学:COVID-19患者における免疫応答の性差
コロナウイルス:SARS-CoV-2のスパイクは膜融合のための準備を行う