Nature ハイライト
コロナウイルス:SARS-CoV-2のスパイクは膜融合のための準備を行う
Nature 588, 7837
コロナウイルスの表面はスパイクタンパク質で覆われており、これが細胞表面受容体と相互作用することで細胞への感染を仲介する。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質は、受容体であるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)と相互作用する。類縁のSARSコロナウイルス(SARS-CoV)のスパイクとは異なり、SARS-CoV-2由来のスパイクには、宿主のプロテアーゼであるフリンによって認識・切断される配列が含まれている。S Gamblinたちは今回、フリン切断型のSARS-CoV-2スパイクタンパク質を用いて、そのACE2受容体との結合をクライオ電子顕微鏡によって調べ、非結合型の閉じたスパイク三量体から、ACE2結合型の完全に開いた三量体まで、10種類の異なる構造を提示している。これらの構造から、ACE2の結合が、融合の活性化に必要なスパイク三量体の不安定化や構造変化を引き起こす仕組みについての視覚化が可能になった。
2020年12月10日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:標準的な衝突から得られるエキゾチックな物理
ナノスケール材料:毛管凝縮の限界を探る
気候科学:適度に差別化した炭素課税によって得られる強力な気候緩和
生態学:脊椎動物のクラスター化した減少と全球規模の壊滅的な減少を区別する
古生物学:太古の鳥類の多様なくちばし
ゲノミクス:コムギゲノムアセンブリで世界的な遺伝的多様性を調べる
ゲノミクス:オオムギのパンゲノム
神経科学:アストロサイトは抑制性シナプスの形成を調節する
ウイルス学:ベネズエラウマ脳炎ウイルスの受容体
免疫学:COVID-19患者における免疫応答の性差
コロナウイルス:SARS-CoV-2のスパイクは膜融合のための準備を行う