Nature ハイライト
Cover Story:共同事業:窒素と酸素と硫黄が結合して、タンパク質の構造に予想外の架橋を作る
Nature 593, 7859
タンパク質の構成単位であるアミノ酸によって、タンパク質の基本的な形態や機能が決まる。しかし、アミノ酸残基の間の架橋によって、タンパク質の形態や機能に影響を及ぼし得る化学的修飾がさらに生じる。最も一般的な架橋は、ジスルフィドと呼ばれる、2個の硫黄原子の結合である。今回K Tittmannたちは、酸素原子によって窒素原子と硫黄原子が連結された、システイン残基とリシン残基の間に形成されるこれまで特定されていなかった結合について報告している(表紙では、窒素が青色、酸素が赤色、硫黄が黄色で描かれている)。彼らは、淋病の原因菌である淋菌(Neisseria gonorrhoeae)において、このN–O–S架橋がトランスアルドラーゼ酵素の活性を制御する酸化還元調節スイッチとして働いていることを見いだした。さらに著者たちは、タンパク質構造データバンク(Protein Data Bank)を調べて、このN–O–S架橋は他の多くのタンパク質ファミリーにも見られる可能性が高いと示唆している。
2021年5月20日号の Nature ハイライト
惑星科学:彗星大気中に存在する鉄とニッケル
惑星科学:彗星2I/ボリソフのコマに見つかった気体状のニッケル原子
化学物理学:極低温化学反応を状態ごとに分解する
化学:酵素を使ってアミドを作る
遺伝学:体細胞変異の正確な検出のためのNanoSeq
コロナウイルス:安価なハンセン病薬がSARS-CoV-2に対する広域スペクトルの抗ウイルス薬となる
コロナウイルス:SARS-CoV-2に対するヒト由来のIgG様二重特異性抗体
生物工学:非ヒト霊長類における塩基編集
細胞生物学:ミトコンドリアの分裂位置が重要
微生物学:結核菌由来VII型分泌装置の完全な構造
分子生物学:顕微鏡で見るテロメア伸長