Nature ハイライト
惑星科学:彗星2I/ボリソフのコマに見つかった気体状のニッケル原子
Nature 593, 7859
つい最近まで、気体状のニッケル原子は太陽のごく近傍を通過する彗星のコマ内でしか観測されていなかった。これはおそらく、ニッケルに富む塵粒子が昇華するには、700 Kを超す温度が必要なためと考えられる。今回P GuzikとM Drahusは、2019年に太陽系を横切っているところを発見された、恒星間彗星2I/ボリソフのコマの中に、気体状のニッケル原子を観測したことを報告している。この彗星は、太陽から2.3天文単位の距離にあってその平衡温度が180 Kであることから、今回の観測結果は予想外であった。著者たちは、検出されたニッケルが短寿命のニッケル含有分子に由来していると結論している。さらに、観測結果から、O、NH2、OH、HCN、COの存在度が、炭素に富む太陽系の彗星によく似ていることが明らかになった。
2021年5月20日号の Nature ハイライト
惑星科学:彗星大気中に存在する鉄とニッケル
惑星科学:彗星2I/ボリソフのコマに見つかった気体状のニッケル原子
化学物理学:極低温化学反応を状態ごとに分解する
化学:酵素を使ってアミドを作る
遺伝学:体細胞変異の正確な検出のためのNanoSeq
コロナウイルス:安価なハンセン病薬がSARS-CoV-2に対する広域スペクトルの抗ウイルス薬となる
コロナウイルス:SARS-CoV-2に対するヒト由来のIgG様二重特異性抗体
生物工学:非ヒト霊長類における塩基編集
細胞生物学:ミトコンドリアの分裂位置が重要
微生物学:結核菌由来VII型分泌装置の完全な構造
分子生物学:顕微鏡で見るテロメア伸長