Nature ハイライト

惑星科学:彗星2I/ボリソフのコマに見つかった気体状のニッケル原子

Nature 593, 7859

2019年10月にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、恒星間彗星2I/ボリソフ。
2019年10月にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、恒星間彗星2I/ボリソフ。 | 拡大する

Credit: NASA, ESA, and D. Jewitt (UCLA) et al.

つい最近まで、気体状のニッケル原子は太陽のごく近傍を通過する彗星のコマ内でしか観測されていなかった。これはおそらく、ニッケルに富む塵粒子が昇華するには、700 Kを超す温度が必要なためと考えられる。今回P GuzikとM Drahusは、2019年に太陽系を横切っているところを発見された、恒星間彗星2I/ボリソフのコマの中に、気体状のニッケル原子を観測したことを報告している。この彗星は、太陽から2.3天文単位の距離にあってその平衡温度が180 Kであることから、今回の観測結果は予想外であった。著者たちは、検出されたニッケルが短寿命のニッケル含有分子に由来していると結論している。さらに、観測結果から、O、NH2、OH、HCN、COの存在度が、炭素に富む太陽系の彗星によく似ていることが明らかになった。

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